ハルサーハルサー
染織に畑しごとってきっとつきもので、
私は糸も染料も買ってるから
畑のことはしないんだけど、
素材を育てるってことからが染織のしごとの一部になってれば
染織との向き合い方もまた違ってくるんだろうとも思うこのごろ。


梅雨の晴れ間に植え替えられた芭蕉畑、
ユンボだけはちょっと乗ってみたくて動かさせてもらって。


まあ、普通自動車の運転でさえへたくそな私には
こんな機械はもっとへたくそだったってだけなんですけど。








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糸になって、布になって…
沖縄ではシーミー(清明祭:お墓の掃除とお墓参り)も終わり、
大学では入学式と新学期、
私は作品を仕上げるために夜はひたすら機織り、
いつのまにか4月も後半。
そろそろ梅雨入りかな?
って思うくらいの湿気っぷりとしとしと雨。
4月すぐの授業では芭蕉畑へ。
繊維を灰汁で煮て、糸にしていく。
透き通ったきれいな夏の素材。

絹ばかり扱っている私にはとても新鮮。

絹の、蚕の命も、麻や綿の植物の命も、
糸になって、布になって、人に纏われ、
いつか土に還っていく。
染織のしごとを知って10年目、
じんわりと、自分のしごとも自然とともにありたいと感じていく。







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絹負け?
手荒れのひどいこの頃。

絹での制作に手荒れは禁物です。
小さなささくれにも絹糸はひっかかり
糸が毛羽立ってしまいます。
極細の糸を扱う時なんか指紋にさえ糸がひっかかるのに…

シルクの吸水性は綿の1.3〜1.5倍といわれています。
放湿速度もとても早いのでシルク製品内に余分な湿気が残留することはなく、
つねにさらりとした肌触りを保ちます。
シルクの主成分はタンパク質。
フィブロインとセリシンという純度の高いタンパク質。
とくにセリシンのアミノ酸組成は人にとっても近いといわれています。
シルクが肌に良いと言われるのはこのおかげ。


制作中、常に糸が手に触れている状態だと、
私の手の必要な水分もすべて絹に持っていかれるような…
絹負け?

最近では市場に流通している生糸のほとんどに
界面活性剤による処理がされていると聞きますので
そのせいなのか…?

お尻のあせもに苦戦した夏場の機織りからやっと解放されてきた矢先…
手荒れは絹での制作の敵!







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綿の花が…
「綿」

綿の花が咲きました。
台風続きで心配だったのですが、無事開花!
うん、きれい!



日本における綿の歴史は遡ること平安時代、
三河に漂着したインド系崑崙人が綿の種を伝えたとされています。
日本で木綿の栽培がされたのは14世紀くらいとされていますが、
衣料素材として広まり栽培されはじめたのは16世紀後半です。

ひとことに「綿」といってもその品種、産地、栽培方法は様々です。
これは綿に限らずどの天然繊維にもいえることだけど…

綿花がはじけるのが楽しみです。






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せっかくなので…
妹に赤ちゃんが産まれるので
出産祝いに授乳ケープを織って贈ろうと思います。
せっかくなので素材は全部天然素材で。
生地はオーガニックコットン。
色は天然染料。
糸から紡ぐのは時間的に無理なので…
オーガニックコットンのガラ紡糸を購入。
オーガニックコットンとは、有機栽培綿のこと。
3年以上農薬・化学肥料を使っていない農場で育てられた綿のことです。
またガラ紡糸とは、明治初期に日本で考案されたガラ紡機で紡がれた糸のこと。
とてもやわらかくて気持ちのいい糸。
天然染料は茜を使用。
茜は浄血、保温、身体全体の活性化に効果ありとして、
古くから赤ちゃんの産着、女性の腰巻きに取り入れられていたようです。
  
左から西洋茜、日本茜、インド茜
自然の染料は薬効のあるものが多い。
紅花は血行促進作用があり、紅花で染められた物は婦人病に効果があるとか、
藍は虫除けによいとされ、昔から野良仕事の衣類に使われていたとか…
いい染料はいい漢方薬。
優しい素材で赤ちゃんを包んであげたい。
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命のやりとり…
「絹」

今年の繭ちゃん(石垣産)
 

2011年の1,2月は毎年にくらべ寒い日が続いたせいか蚕の成長が少々遅かった様子。
この繭ちゃんは約2dの糸を吐き出し、1繭約800mの小粒ちゃんです。
まだ生きてますが…

90℃のお湯で瞬殺。
すぐに70℃のお湯につけ、この温度差の膨張と収縮で繭の中にお湯が入ります。

 
いくつかの工程を経て座繰りで糸を繰ります。
さらに合糸や撚糸や精練をしていきます。

日本における絹の歴史は弥生時代、紀元前2世紀から紀元前3世紀くらいに日本に伝えられたようです。
「魏志倭人伝」には238年に邪馬台国の女王卑弥呼が中国の魏王に斑絹を贈り、その返礼として多数の高級織物が下賜されたと伝えられています。
飛鳥時代には盛んに国産されましたが、長い歴史を通じて常に上流階級の素材でした。



私のしごと、
織のしごと、
その根本には命のやりとがあるということ。
布がかつて祈りとともにあった時代、
蚕の命は人の祈りと共につむがれていったにちがいない。







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苧麻
「麻」

人類最古の繊維と云われる麻。
日本では、飛鳥・奈良時代に苧麻が衣料用として着用されていたと、
日本書紀に記されています。
「麻」という総称のしかたは日本独特で、
英語ではRamie(苧麻)Linenn(亜麻) Hemp(大麻) Jute(黄麻)
などと区別されています。
また、麻といっても庶民の用いてきた麻と「上布」と呼ばれる麻は区別して考える必要があります。

今年度、一番はじめの授業は苧麻でした。
イラクサ科で高温多湿、太陽を好みます。
亜熱帯の宮古・八重山では気象条件が良ければ年4〜5回も収穫が可能だそうです。
中でも春の苧麻は上質!
苧剥ぎ(葉を落とし、芯と表皮を剥ぎ取ります)
苧引き(表皮の内側にある繊維をとります)
苧積み(元乾燥させた後、繊維を細く裂き撚りをかけていきます)
積んだ糸は青白く透明感があってってもきれい!

糸をつくるのはどんな素材であれ大変です。
育てることからはじまり、その作業のすべてが気象条件に左右されます。
着物一反…などといったら気が遠くなるような…
だけど、手仕事である意味って、素材のこうゆうところからのことをいうんだと
最近身にしみて感じています。


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